BtoBで『マーケのリードが悪い』『営業の追客が甘い』論争をCMOが終わらせる方法

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BtoBで『マーケのリードが悪い』『営業の追客が甘い』論争をCMOが終わらせる方法

BtoB企業のマーケティング部門と営業部門の間で繰り広げられる永遠の論争「マーケのリードが悪い」「営業の追客が甘い」。この対立は単なる部門間の感情的な衝突ではなく、組織構造とプロセスの問題が根本にある。放置すれば売上機会の損失と組織の士気低下を招く深刻な課題だ。CMOとして、この耳の痛い論争にどう終止符を打ち、真の連携を実現するか。具体的な解決策を探る。

1. なぜこの論争は必ず起こるのか

1-1. BtoB組織に潜む構造的な問題

この論争の根本原因は、マーケティングと営業の成果指標が異なることにある。マーケティング部門は「リード数」「MQL数」といった量的指標で評価され、営業部門は「商談化率」「受注率」といった質的指標で評価される。この評価軸の違いが、互いの成果を否定し合う構造を生み出している。

さらに、多くのBtoB企業では「マーケティングは見込み客を集める部門」「営業は契約を取る部門」という役割分担が曖昧なまま運用されている。この曖昧さが、責任の所在を不明確にし、問題が発生した際の責任転嫁を助長する。

1-2. 数字のプレッシャーが生む責任転嫁

四半期や月次の数字目標に追われる現場では、冷静な問題分析よりも責任転嫁が優先されがちだ。営業目標が未達になりそうな時、営業部門にとって「マーケのリードが悪い」という主張は、自分たちの責任を軽減する都合の良い理由となる。

一方、マーケティング部門も「リードは十分に提供している」「営業の追客スキルに問題がある」と反論することで、自部門の成果を守ろうとする。この負のスパイラルこそが、CMOが最も警戒すべき組織の病理と言える。

1-3. 放置すると組織全体に与える悪影響

この論争を放置すると、以下のような深刻な問題が発生する:

  • 機会損失の拡大:リードの質向上や営業プロセスの改善が進まず、本来獲得できるはずの顧客を逃す
  • 組織の士気低下:互いを批判し合う文化が定着し、協力的な組織風土が損なわれる
  • 人材流出のリスク:優秀な人材が組織の非効率性に嫌気がさして離職する
  • 経営陣からの信頼失墜:部門間の対立が表面化し、マーケティング投資全体への疑問視につながる

1-4. CMOが直面する現実的な課題

CMOにとって最も厄介なのは、この論争に明確な正解がないことだ。双方の言い分には一理あり、感情的な対立の背後には構造的な問題が潜んでいる。

さらに、この問題は以下の複合的な要因が絡み合っている:

  • 組織文化の問題:部門の壁、縦割り意識
  • システムの問題:データ連携不備、ツールの分断
  • プロセスの問題:曖昧な定義、不明確な責任範囲
  • 人材の問題:スキル不足、相互理解の欠如

FAQ1:なぜこの論争は必ず起こるのか

Q1-1. 小規模な会社でも同じ問題が発生しますか? はい、会社規模に関係なく発生します。むしろ小規模企業では役割分担が曖昧になりがちで、「誰がリードの責任を持つのか」がより不明確になる傾向があります。

Q1-2. この問題を未然に防ぐ方法はありますか? 完全な防止は困難ですが、組織立ち上げ時からMQL/SQLの定義を明確にし、責任範囲を文書化しておくことで影響を最小限に抑えられます。

Q1-3. 経営陣はこの問題をどう捉えるべきでしょうか? 単なる部門間の感情的対立ではなく、売上に直結する組織課題として捉える必要があります。放置すると機会損失が拡大し、優秀な人材の流出にもつながります。

2. 双方の言い分を冷静に分析する

2-1. マーケティング部門の主張とその根拠

マーケティング部門の典型的な主張

  • リード数は目標を達成している:月間目標件数を安定して創出
  • リードの質は基準を満たしている:MQL定義に従った適切なスコアリング
  • 営業の追客が不十分:温めたリードの放置問題
  • フォローアップのタイミングが遅い:ホットリードへの数日遅れの連絡

主張の根拠と現実

これらの主張には一定の根拠があります。多くの企業で営業担当者のリードフォロー率が十分でない状況が見られ、機会損失が発生しているのは事実です。

2-2. 営業部門の主張とその根拠

営業部門の典型的な主張

  • リードの質が低すぎる:決裁権限がない担当者からの問い合わせ
  • ニーズが曖昧:具体的な課題や予算感が見えないリード
  • タイミングが合わない:検討時期が遠く、すぐに商談化できない
  • 競合調査目的が多い:本気で検討していない情報収集のみ

主張の根拠と現実

営業側の主張にも妥当性があります。BtoBマーケティングでは情報収集段階の早いリードも含まれるため、すぐに商談化できないリードが一定数存在するのは自然なことです。

2-3. データで見る:実際にどちらに問題があることが多いのか

確認すべき重要指標

  • リード to 商談化率:一般的に5-15%程度
  • 商談 to 受注率:一般的に20-30%程度
  • リードフォロー率:営業による初回コンタクト率
  • レスポンス時間:リード獲得から初回コンタクトまでの時間

よく見られる傾向

多くの企業での分析では以下の傾向が見られます:

  • リードフォロー率が十分でない企業が多数存在
  • 初回コンタクトまでに時間がかかる企業が相当数存在
  • 一方で、商談化したリードの受注率が低い企業も多数存在

重要な結論

これらの傾向から、両部門に改善の余地があるというのが現実です。

FAQ2:双方の言い分を冷静に分析する

Q2-1. どちらかが一方的に悪いケースはありますか? まれにありますが、多くの場合は複合的な問題です。ただし、リードフォロー率が30%以下の場合は営業側に、商談化率が3%以下の場合はマーケティング側により大きな課題があると考えられます。

Q2-2. 外部の専門家に判断してもらう方が良いでしょうか? 客観的な視点は有効ですが、まずは社内データの分析から始めることをお勧めします。外部専門家は現状把握後の解決策検討段階で活用するとより効果的です。

Q2-3. 他社と比較する際の注意点はありますか? 業界、商材、顧客層が異なると数値も大きく変わります。同業他社との比較が理想的ですが、難しい場合は自社の過去データとの比較から始めましょう。

3. CMOが取るべき根本的解決アプローチ

3-1. MQL/SQL定義の再構築と合意形成

最重要課題:定義の明確化

マーケティングクオリファイドリード(MQL)とセールスクオリファイドリード(SQL)の定義を明確にし、両部門の合意を得ることが最も重要です。

効果的なMQL定義の要素

  • デモグラフィック情報:会社規模、業界、役職
  • 行動スコア:サイト閲覧、資料DL、セミナー参加
  • 購買意欲の明示:問い合わせ内容、検討時期
  • BANT条件の一部充足:Budget, Authority, Need, Timeline

実践的な合意形成プロセス

  1. 過去データの徹底分析:受注リードの共通点抽出
  2. 責任者による集中討議:週1回×4週間の定義策定会議
  3. 試験運用による検証:1ヶ月間の新定義テスト
  4. 定期見直しの仕組み化:四半期ごとの定義アップデート 
    参照:https://blog.hubspot.com/sales/sales-qualified-lead

3-2. 責任範囲の明確化とプロセス可視化

プロセス全体の可視化が必須

各段階での責任者を明確にし、問題発生時の原因特定を容易にします。

明確な責任分担の設定

  1. リード獲得(マーケ):広告・コンテンツ・イベント
  2. リード育成(マーケ):メール配信・コンテンツ提供
  3. MQL判定(マーケ):スコアリング・MQL認定
  4. 初回コンタクト(営業):48時間以内接触の徹底
  5. SQL判定(営業):商談化可能性の判断
  6. 商談化・受注(営業):提案から契約締結

3-3. 共通KPIによる評価制度改革

従来の部門別評価から、両部門が共通目標を持つ制度に変更します。

効果的な共通KPI設定

  • パイプライン貢献度:マーケ創出リードの受注金額
  • リード to 受注率:両部門共同責任指標
  • 顧客獲得コスト効率:マーケ+営業コストの最適化

4. 論争解決のための具体的ソリューション

4-1. 即効性のある短期施策(実装期間:1-3ヶ月)

データ透明化による客観的判断基盤の構築

リアルタイムダッシュボードの導入

  • 実装手順:既存のMA・SFAツールのデータ連携設定
  • 表示項目:リードフォロー率、コンバージョン率、商談進捗
  • 更新頻度:リアルタイム(最低でも日次更新)
  • 責任者:マーケティング部門がダッシュボード管理を担当

48時間ルールの徹底実装

  • ルール内容:MQL認定から48時間以内の営業初回コンタクト
  • 実装方法:SFAでのアラート機能設定、日次進捗レポート
  • 例外処理:土日祝日の取り扱い、緊急時の対応フロー
  • 効果測定:週次でのフォロー率とレスポンス時間測定

週次データレビュー会議の設置

  • 開催頻度:毎週金曜日15:00-15:30(30分固定)
  • 参加者:マーケ責任者、営業責任者、CMO
  • 議題:数字ベースでの振り返り、ボトルネック特定、翌週アクション決定

4-2. 中長期的な組織改革施策(実装期間:6-12ヶ月)

組織構造の最適化

クロスファンクショナルチームの常設化

  • チーム構成:マーケ2名、営業2名、データ分析1名
  • 役割:プロセス改善、新施策の企画・実行、成果測定
  • 権限:部門を超えた改善提案の実行権限

人材交流プログラムの導入

  • 営業同行プログラム:マーケ担当者の月2回営業同行
  • 逆向き提案制度:営業が発見した見込み客情報のマーケへの共有
  • 四半期ローテーション:若手人材の部門間異動経験

テクノロジー統合による効率化

  • MA・SFA・CRM統合:顧客データの一元管理実現
  • AIスコアリング導入:過去受注データ学習による精度向上
  • 自動化推進:定型業務の自動化で戦略業務への集中

4-3. 段階的実装のロードマップ

フェーズ1:基盤構築(1-3ヶ月)

  • 現状データ分析と課題特定
  • MQL/SQL定義の再構築
  • 短期施策の実装開始

フェーズ2:プロセス改善(3-6ヶ月)

  • 責任範囲の明確化と浸透
  • 評価制度の見直し着手
  • 中期施策の準備開始

フェーズ3:組織変革(6-12ヶ月)

  • 新評価制度の本格運用
  • 組織構造の最適化実行
  • 文化変革の定着支援

各フェーズの成功指標

  • フェーズ1:リードフォロー率80%達成、初回コンタクト48時間以内90%達成
  • フェーズ2:リード to 受注率10%向上、部門間満足度調査で改善確認
  • フェーズ3:売上成長率の安定化、組織エンゲージメント向上

FAQ

FAQ1:なぜこの論争は必ず起こるのか

Q1-1. この問題はどの会社でも起こるものなのでしょうか? はい、多くのBtoB企業で何らかの形でこの問題が発生しています。特に急成長期の企業や、マーケティング機能を本格的に導入した企業で顕著に現れます。組織が成長する過程で必然的に発生する課題と考えて良いでしょう。

Q1-2. この論争が長期化する会社の特徴はありますか? 長期化する会社の特徴として、経営陣がこの問題を「現場の問題」として軽視していること、データに基づく意思決定文化が欠如していること、部門間の人事異動が少なく相互理解の機会がないことが挙げられます。

FAQ2:双方の言い分を冷静に分析する

Q2-1. マーケと営業、どちらの言い分が正しいことが多いのでしょうか? 実際の分析では、両部門に改善の余地があることがほとんどです。マーケティングのリード品質とフォローアップの両面で課題を抱える企業が大多数で、多くの場合は複合的な問題となっています。

Q2-2. この問題を客観的に判断するにはどんなデータを見ればいいですか? 重要なデータは以下の通りです:リード to 商談化率、商談 to 受注率、リードフォロー率、レスポンス時間、ソース別の受注率。これらのデータを同業他社と比較することで、問題の所在を客観的に把握できます。

FAQ3:CMOが取るべき根本的解決アプローチ

Q3-1. MQL/SQLの定義を変更する際、現場からの反発にどう対処すべきでしょうか? 現場を巻き込んだ定義策定プロセスを取ることが重要です。トップダウンで変更するのではなく、過去のデータ分析結果を共有し、現場の意見を聞きながら合意形成を図りましょう。また、試験運用期間を設けて段階的に導入することで抵抗を軽減できます。

Q3-2. 経営陣がこの問題を軽視している場合、どう説得すればよいでしょうか? 売上への具体的な影響を数値で示すことが効果的です。「現在のリードフォロー率〇%を△%に改善すれば、年間売上が××万円向上する」といった試算を提示し、投資対効果を明確にしましょう。組織の対立による人材流出リスクも併せて説明することが重要です。








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